耐震診断で分かること・・・

以前も耐震診断のことについてはブログに書いていましたが、今日はもっと詳しく耐震診断についてお伝えしたいと思います

耐震診断でわかること・・・


建物の地震に対する強さ(耐震性)が『上部構造評点』という点数で示されるのはご存知でしょうか?

その『丈夫構造評点』の結果が4段階で判定されるのです。

上部構造評点 判定
1.5以上 倒壊しない
1.0以上~1.5未満 一応倒壊しない
0.7以上~1.0未満 倒壊する可能性がある
0.7未満 倒壊する可能性が高い

この上部構造評価は、大まかにいうとこの4つで割り出されます。

壁の量(強さ) 強い壁がどのくらい入っているか
壁の配置バランス 強い壁がバランスよく配置されているか
柱と土台・梁の接合 柱と土台や梁がどのようにつながっているか
劣化状況 腐っていないか、シロアリに食われていないか

これらの基準は建築基準法で決められていますが、大きな地震が発生し木造住宅に被害が生じると、

その都度基準が見直されます。

例えば・・・1995年の阪神・淡路大震災が発生したあと、2000年に建築基準法の改正が行われています。

『基礎』は地耐力に応じた基礎構造が規定されました。

そして『筋かい』には筋かいのサイズによって筋かいを止める金物が指定されました。

『壁の配置バランス』に関しては1950年から一度も改定されていなかったのですが、

2000年に初めて壁の配置バランスに関して規定されています。


地盤や基礎は影響しないのでしょうか?

地盤や基礎は家を支える大切な要素ですが、上部構造評点には直接は含まれません。地震時に注意する点として確認します。

≪地盤≫

地盤は自治体や民間企業の地盤情報や、過去の土地情報などで確認することができます。

≪基礎≫

基礎は①鉄筋が入っているかどうか、②ひび割れ(クラック)がないかどうかなどを確認します。


診断結果報告書の中で主な項目の解説をしましょう

こちらは診断結果報告書のサンプルです

建物を調査した際の、各調査項目や地域ごとの状況がまとまっています。

主な項目の解説

①基礎仕様・・・・建物を支える基礎の樹類・状態によって3段階に分かれます。

②柱頭柱脚接合部・・・柱と土台・梁との接合部の状況です。これは建築基準法によって定められていますが、建てた年代により使われている金物が変わります。

③建物重量・・・建物が重いほど、その建物に必要な強さ(耐力)が大きくなります。屋根の素材などを確認します。

④積雪・・・雪の多い地域は、予め定められた係数を用いて、雪の重みも計算にいれます

⑤地域係数Z・・・地震地域係数のことで、過去の地震活動や被害などから都道府県ごとに定められています。

このような各調査項目を数値化し具体的に建物がどのくらいの強さをもっているか算出します。

床面積等から求めた『その家が本来持つべき強さ(必要耐力)』に対して、壁の量・配置や劣化等から

求めた『実際に持っている強さ(保有耐力)』がどの程度あるか、で評価します。必要耐力80、保有耐力40であれば評点は0.5となります。


診断結果報告書で各階の壁や筋かいがそれぞれどのくらいの強さで、

どのように配置されているかがわかります。

また、建物の重心(重さの中心)位置と剛心(強さの中心)位置の)ずれから、

建物のバランスを確認することができます。

これによって耐震補強の方法や使う材料なども変わってくるのです。

しかし、相手が天災である以上、絶対に倒れない建物は造れません。だからこそ、

あと何年住むのか、予算はどのくらいか、これからのライフスタイルはどうなるのか・・・

などを考慮し費用対効果の高い耐震補強を計画することが大切です。

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